米ドル、日本円、ユーロに続いて、今回は**英ポンド(GBP)**です。
日本のFXでは、
ポンド円(GBP/JPY)
ポンドドル(GBP/USD)
などでよく見かけます。
ポンドというと、
「値動きが大きい」
というイメージを持っている人もいるかもしれません。
実際、BOEの金融政策や英国CPI、賃金などをきっかけに、短時間で値幅が大きくなる場面があります。
では、ポンドを見るときは何を確認すればいいのでしょうか。
今回は、
- BOEの金融政策
- 英国の物価
- 賃金と雇用
- 英国景気
- 英国と他国の金利差
- 財政や英国債市場
を中心に整理してみます。
【ここに「主要通貨の特徴シリーズ」共通画像】
英ポンド(GBP)はどんな通貨?
英ポンドは英国で使われている通貨で、通貨コードは
GBP(British Pound)
です。
一般にはポンドや**スターリング(Sterling)**とも呼ばれます。
英国はユーロ圏に参加していないため、ユーロではなく独自の通貨であるポンドを使っています。
そのため金融政策もECBではなく、
BOE(Bank of England/イングランド銀行)
が担当します。
ポンドを見るときは、まず
英国経済
+
BOEの金融政策
から考えると分かりやすいです。
ポンドを見るなら、まずBOE
ポンドを見るうえで特に重要なのが、
BOE(イングランド銀行)
です。
BOEでは、MPC(金融政策委員会)が政策金利であるBank Rateなどの金融政策を決めています。
BOEの金融政策では、英国政府が定めるCPI前年比2%のインフレ目標が重要な基準になります。
そのため為替市場では、
「英国の物価は2%に向かって安定していきそうか」
そして、
「BOEは今後どの程度の金利を必要と考えそうか」
が注目されます。
たとえば、
インフレ圧力が予想以上に強い
↓
BOEが金融政策を緩めにくくなる
↓
英国金利が上昇しやすくなる
↓
ポンドが買われやすくなる
という流れがあります。
反対に、
物価や景気が弱くなる
↓
BOEが金融政策を緩めやすくなる
↓
英国金利が低下しやすくなる
↓
ポンドが売られやすくなる
ことがあります。
ただし、
利上げ=必ずポンド高
利下げ=必ずポンド安
ではありません。
為替市場では、実際の政策変更以上に、
市場が事前に何を予想していたのか
が重要です。
英国の物価はかなり重要
BOEの政策を考えるとき、特に注目されるのが英国のCPIです。
市場では、
- 総合CPI
- コアCPI
- サービス価格
などが確認されます。
特にサービス価格は、国内の人件費などの影響も受けるため、インフレの持続性を見る材料のひとつになります。
たとえば、
CPIが市場予想より強い
↓
インフレ圧力が残っているとの見方
↓
BOEが金利を下げにくいとの見方
↓
英国金利上昇
↓
ポンド買い
という流れになることがあります。
反対に物価が予想以上に鈍化すれば、BOEが金融政策を緩めやすくなるとの見方からポンドが売られる場合があります。
重要なのは、
CPIそのものではなく、その数字でBOEへの見方が変わったのか
です。
ポンドでは賃金も重要
英国では、賃金の伸びも注目されます。
なぜ賃金を見るのでしょうか。
賃金が高い伸びを続ければ、人件費の上昇などを通じてサービス価格への上昇圧力が残る可能性があるからです。
そのため、
賃金の伸びが強い
↓
国内のインフレ圧力が残りやすい
↓
BOEが金融政策を緩めにくい
と市場が考えることがあります。
ただし、
賃金が高い=ポンド高
と単純に考えるのは避けたいところです。
賃金だけでなく、
雇用は増えているのか
失業率はどうなっているのか
サービス物価はどうか
BOEはどう評価しているのか
まで見る必要があります。
英国の景気も確認したい
物価と賃金だけでなく、英国景気もポンドを動かす材料になります。
代表的には、
- GDP
- PMI
- 小売売上高
- 雇用関連統計
- 消費関連指標
などがあります。
景気が市場予想より強ければ、
BOEが急いで金利を下げる必要はないのでは?
という見方につながることがあります。
反対に景気が大きく悪化すれば、
金融政策を緩める必要があるのでは?
という見方が強まり、英国金利やポンドが低下する場合があります。
基本的には、
物価・賃金・景気
↓
BOEの金融政策見通し
↓
英国金利
↓
ポンド
という流れで考えると分かりやすいです。
ポンドが動きやすい経済材料
ポンドを見るなら、まずこのあたりを確認しておくと整理しやすいです。
| 経済指標・イベント | 主に見るポイント |
|---|---|
| BOE金融政策会合 | Bank Rate・今後の金融政策 |
| MPCの投票結果 | 委員の政策判断の違い |
| BOE総裁などの発言 | 今後の金融政策への姿勢 |
| 英CPI | インフレの強さ |
| サービス物価 | 国内インフレの持続性 |
| 賃金関連統計 | 賃金上昇の強さ |
| 雇用関連統計 | 労働市場の状況 |
| 英GDP・PMI | 英国景気の方向 |
全部を毎日確認する必要はありません。
まずは、
BOE
物価
賃金
景気
を見るだけでも、ポンドの動きはかなり整理しやすくなります。
BOEでは「投票結果」が注目されることもある
BOEを見るときには、政策金利の結果だけでなく、MPCメンバーの投票結果が材料になることがあります。
たとえば政策金利が据え置かれていても、
利下げを支持する委員が増えた
のであれば、
「BOEは利下げに近づいているのでは?」
と市場が考える可能性があります。
反対に、引き締め的な判断を支持する委員が市場予想より多ければ、英国金利やポンドが上昇することもあります。
つまり、
金利が変わったかどうか
だけではなく、
BOEの中で金融政策への考え方がどう変化しているか
も見ると、ポンドの動きが分かりやすくなります。
ポンドドルでは英国と米国を比べる
代表的なポンドの通貨ペアが、
ポンドドル(GBP/USD)
です。
この場合は、
BOEとFRB
の金融政策を比べます。
たとえば、
BOEは金利を高く維持しそう
+
FRBは金融政策を緩めやすくなりそう
という見方が強まれば、英国と米国の金利差がポンドに有利な方向へ動き、
ポンド買い・ドル売り
につながることがあります。
反対に、
BOEは金融政策を緩めやすい
+
FRBは高い金利を維持しそう
となれば、
ポンド売り・ドル買い
につながる可能性があります。
つまりポンドドルを見るなら、
BOEだけでなくFRBも見る
必要があります。
ポンド円では英国と日本を比べる
日本のFXでは、
ポンド円(GBP/JPY)
もよく見られる通貨ペアです。
ポンド円の場合は、
BOEと日銀
を比較します。
たとえば、
英国金利が相対的に高い状態が続く
+
日本金利が相対的に低い
なら、
ポンド買い・円売り
につながることがあります。
反対に、
BOEの金融緩和観測が強まる
+
日銀の引き締め観測が強まる
となれば、
ポンド売り・円買い
となり、ポンド円の下落につながることがあります。
ここでも大切なのは、
英国金利だけを見るのではなく、日本との金利差がどちらへ動いているのか
です。
ポンド円はなぜ大きく動くことがある?
ポンド円は、短期間で値幅が大きくなることがあります。
ただ、
「ポンドだから必ず大きく動く」
と考えるより、
ポンド側と円側の材料が同時に動くことがある
と考えた方が分かりやすいです。
たとえば、
英国CPIが強い
↓
BOEの利下げ観測後退
↓
ポンド買い
と同時に、
日本側では円売り材料
が出れば、
ポンド買い+円売り
になります。
こうなると、ポンド円の上昇幅が大きくなることがあります。
反対に、
ポンド売り+円買い
が重なれば、大きく下落する可能性があります。
値動きが大きい=予想しやすい、ではない
値幅が大きい通貨ペアを見ると、
「利益を狙いやすそう」
と感じるかもしれません。
ただし、値幅が大きいということは、
予想と反対へ動いた場合の値幅も大きくなる
ということです。
特に、
- BOE金融政策発表
- 英CPI
- 英賃金・雇用
- 米雇用統計
- FOMC
- 日銀金融政策決定会合
などがある日は、ポンドドルやポンド円が大きく動くことがあります。
そのため、
よく動く=簡単
とは限りません。
むしろ材料発表直後は、第一反応とその後の値動きが逆になることもあるので注意したいところです。
英国金利を見るなら英国債にも注目
ポンドを見るときは、BOEの政策金利だけでなく、英国債(Gilt)の利回りも参考になります。
経済指標やBOEの発言を受けて、
英国債利回りが上昇しているのか
低下しているのか
を見ることで、市場が金融政策をどう受け止めたのかが分かりやすくなることがあります。
ポンドドルなら、
英国金利
と
米国金利
を比較する。
ポンド円なら、
英国金利
と
日本金利
を比較する。
この見方をすると、経済指標と為替をつなげやすくなります。
英国の財政政策が大きな材料になることもある
ポンドには、英国特有の材料として政府の財政政策があります。
たとえば、
- 政府予算
- 減税・増税
- 国債発行
- 財政赤字
- 政府の経済政策
などです。
市場が英国の財政運営に対して強い不安を持つと、
英国債が売られる
英国債利回りが急上昇する
ポンドが不安定になる
といったこともあります。
ここで注意したいのは、
金利上昇=必ずポンド高
ではないということです。
通常、金融政策見通しによる金利上昇はポンドを支える材料になりやすいですが、
財政への不安から英国債が売られて金利が上昇している
場合には、ポンドも一緒に売られることがあります。
だから、
金利が上がった
だけではなく、
なぜ英国金利が上がったのか
を見ることが大切です。
ポンドが強くなりやすい・弱くなりやすい場面
基本的な関係を整理すると、こんなイメージです。
| ポンドが強くなりやすい | ポンドが弱くなりやすい |
|---|---|
| BOEが市場予想より引き締め的 | BOEが市場予想より緩和的 |
| 英国金利が金融政策見通しを背景に上昇 | 英国金利が低下 |
| インフレが市場予想より強い | インフレが市場予想より弱い |
| 賃金・サービス物価が強い | 賃金・サービス物価が鈍化 |
| 英国景気が予想より強い | 英国景気への懸念が強まる |
| 金利差がポンドに有利な方向へ動く | 金利差がポンドに不利な方向へ動く |
| 財政への信認が安定している | 財政への警戒が急激に高まる |
もちろん、一つの条件だけでポンド高・ポンド安が決まるわけではありません。
最後は、
市場予想との違い
と、
実際の英国金利・ポンドの反応
まで見ることが大切です。
ポンドを見るときは、この5つを確認
毎日すべての英国ニュースを見る必要はありません。
まずは次の5つを見ると整理しやすいです。
① BOEの金融政策
今後、政策金利を高く維持しそうなのか、金融政策を緩めやすくなっているのか。
② 英国の物価
CPIやサービス物価から、インフレ圧力が強いのか弱いのか。
③ 賃金と雇用
賃金上昇が続いているのか、労働市場が弱くなっていないか。
④ 英国の景気
GDPやPMIなどから景気の方向を見る。
⑤ 相手国との金利差
ポンドドルなら米国、ポンド円なら日本と比較する。
大きな財政政策が発表されたときは、これに英国債市場の反応も加えます。
ひかるMEMO
ポンドを見るときに私が特に意識したいのは、
「数字が強かったから買う」だけで終わらせない
ことです。
たとえば英CPIが市場予想より強くても、
英国金利が上がらない
ポンドも高値を維持できない
なら、
「この材料はすでに織り込まれていたのかな?」
と考えることができます。
反対に、それほど大きなサプライズではないのに英国金利とポンドが強く上昇するなら、市場がかなり敏感になっている可能性もあります。
だから私は、
経済指標
↓
BOEへの見方
↓
英国金利
↓
実際のポンド
まで確認する。
ポンドのように短時間で大きく動く場面がある通貨ほど、発表された数字だけではなく、その後の反応を見ることが大事かなと思います。
ポンドはここを見る
英ポンドを初めて見るなら、まずはこの流れを覚えておけば十分です。
英国の物価・賃金・景気
↓
BOEの金融政策見通し
↓
英国金利
↓
相手国との金利差
↓
実際のポンドの反応
そして大きな財政政策がテーマになっているときは、
英国債市場
も確認します。
ポンドドルなら最後に米ドル。
ポンド円なら最後に日本円。
相手側まで見ることで、ポンドの動きがかなり整理しやすくなります。
まとめ|ポンドはBOE・物価・賃金・英国金利を見る
英ポンドを見るときに特に確認したいのは、
BOEの金融政策
英国の物価
賃金と雇用
英国景気
英国金利
相手国との金利差
です。
ポンドは、BOEの政策見通しや物価・賃金の変化によって、短期間で値幅が大きくなる場面があります。
ただし、
CPIが高い=必ずポンド高
ではありません。
大切なのは、
市場予想と比べてどうだった?
↓
BOEの金融政策見通しは変わった?
↓
英国金利はどう反応した?
↓
相手国との金利差はどうなった?
↓
ポンドは実際にどう動いた?
という順番で見ることです。
ポンドドルならBOEとFRB。
ポンド円ならBOEと日銀。
そして英国の財政が大きなテーマになっているときは、英国債市場まで見る。
この流れを覚えておくと、ポンド相場をかなり整理しやすくなると思います。
次は、中国経済や資源価格との関係でも注目される豪ドル(AUD)の特徴を整理していきます。
※本記事は公開情報をもとに経済や相場の仕組みを整理したものです。将来の値動きや利益を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
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