先週のドル円は、かなり景色が変わった1週間でした。
週前半には160.39円まで上昇しましたが、その後は日銀の利上げ観測を背景に円買いが急速に強まり、週後半には155円台まで下落。4日の米雇用統計では非農業部門雇用者数が16.2万人増と市場予想の5.6万人増を大きく上回り、いったんドルが買い戻されたものの、週末は156円前後にとどまりました。
来週は、急落したドル円がどこまで戻せるのかがまず焦点になりそうです。
ただ、金曜日には米8月CPIも控えています。週前半の戻りだけで方向を決めるより、158円を回復できるのか、それとも155円台を再び試すのかを見ながら考えたい1週間です。
160円台から一転、円高が加速した先週
先週初めのドル円は159円台後半。9月2日には中東情勢を背景とした「有事のドル買い」もあり、一時160.39円まで上昇しました。9月1日時点では160円台への定着が焦点になっていたほどです。
ところが、その後は流れが一変しました。
高田創日銀審議委員の発言などをきっかけに、9月の日銀会合での利上げだけでなく、その後の利上げペースが速まるとの見方まで浮上。一時は0.50%の大幅利上げを意識する動きもあり、積み上がっていた円売りが急速に巻き戻されました。
9月3日のドル円は155.30円前後まで下落。わずか2日ほどで160円台から5円近く水準を切り下げました。外為どっとコムも4日朝の時点で「ドル高・円安トレンドは終了したのではないかとの見方も出ている」と指摘していました。
そして週末の米雇用統計。
8月の非農業部門雇用者数は16.2万人増となり、市場予想の5.6万人増を大きく上回りました。一方、平均時給の伸びは前年比3.1%と2021年6月以来の低い伸び。強い雇用者数を受けてドルはいったん買われましたが、その後は上げ幅を縮小し、ドル円は156円前後で週を終えています。
前週の見方で修正したいところ
前週は160円台を軸に考えていましたが、結果的には円高方向への変化をもっと早く大きく評価する必要がありました。
160円付近では介入警戒が強く、上値が重くなる可能性そのものは意識していました。ただ、実際には「160円台で伸び悩む」程度ではなく、日銀の利上げ観測が強まったことで相場の前提そのものが変わっています。
ここは来週にも引き継ぎたいところです。
先週までなら159〜160円台へ戻ればドル高基調の継続を考えやすかったのですが、今は違います。158円台には200日線や25日線などが集まっており、まず158円を回復できなければ、上昇というより急落後の戻りの範囲と考えた方がよさそうです。
一方で、155円台では売られ過ぎ感も出ています。
そのため来週は、円高が続くと決めつけて下だけを見るより、急落後の反発と、その反発がどこで止まるかを見る1週間になりそうです。
来週のドル円は153.50〜158.50円を想定
来週の予想レンジは、
153.50〜158.50円
とします。
方向感は、戻りを試しても上値は重いと見ています。
週前半は155〜157円台を中心に急落後の値固めとなる可能性があります。特に月曜日は米国がレイバーデーで休場するため、積極的に方向を作りにくい一方、流動性が低下した場面で値が振れる可能性には注意したいところです。
上値ではまず157円台後半から158円台。
158.00〜158.80円付近には200日線や25日線が位置しており、戻り売りが出やすい水準として意識されそうです。
ここをしっかり回復できれば、先週の下落がいったん一巡した可能性が出てきます。
逆に155円を割り込むと、154円台、さらに153円台まで下値余地が広がる可能性があります。市場の週間予想でも153〜158円、154〜158円程度を想定する見方が出ています。
158円を回復できるかが戻りの焦点
来週、上方向で最初に注目したいのは157円です。
156円台から157円台へ戻し、さらに157.50円を超えてくれば、158円を試す動きにつながりやすくなります。
ただ、158円台はかなり重要です。
158.00〜158.80円付近を上抜け、その後も158円台を維持できるようなら、急落後の単なる買い戻しから一段進み、159円方向への戻りも考えやすくなります。
反対に157〜158円台で伸び悩むなら、戻り売りが優勢になり、再び155円台へ押し戻される展開を警戒します。
155円を割れると、もう一段の円高も
下方向では155円前後が最初の分岐です。
先週も155円台では下げ渋る場面がありました。
そのため、一時的に155円を割っただけならすぐに下落加速とは考えません。戻した後に155円台を回復できるかまで確認したいところです。
155円を割り込み、戻しても155円台を回復できない場合は154円方向が意識されやすくなります。
さらに154円を下抜けるようなら、153円台までレンジを広げて考えます。
日銀の利上げ観測が一段と強まる場面では、円売りポジションの巻き戻しが再び加速する可能性もあり、下方向の値幅はやや大きめに見ておきたいです。
ひかるの見極めポイント💫
155.00〜157.50円
急落後の値固めになりやすいゾーン。この範囲なら方向感を決めつけず、もみ合いを想定します。
157.50円を上抜けて維持
158.00〜158.80円まで戻りを試す可能性。158円台を維持できるかが次の焦点です。
158.80円を上抜けて維持
急落後の戻りという見方を少し弱め、159円台まで上値余地を広げます。
155円を割って戻せない
154円台を試す展開を警戒。154円も下抜ければ153円台まで下値余地が広がる可能性があります。
来週は「上か下か」よりも、155〜158円のどちら側へ相場が抜けて定着するかを見た方が分かりやすそうです。
金曜日の米CPIが最大の材料
来週後半は重要イベントが集中しています。
9月8日には日本の4-6月期GDP改定値と毎月勤労統計、5年国債入札があります。賃金や景気の強さが確認されれば、日銀の利上げ観測を支える材料になりそうです。
10日はさらに材料が多く、日銀の増一行審議委員の発言、ECB理事会、米8月PPI、新規失業保険申請件数、米30年国債入札が予定されています。
そして11日の米8月CPI。
先週の米雇用統計は雇用者数こそ強かったものの、賃金の伸びは鈍化しました。次は物価が強いのか弱いのかによって、9月FOMCの金利見通しが改めて動く可能性があります。
CPIが強ければ米金利上昇を通じてドル円の戻りを支えやすくなります。
逆にインフレ鈍化が確認されれば、雇用統計後に強まったドル買いが後退し、再び155円割れを試す可能性も出てきます。
ユーロ円はECB、ポンド円は英GDPに注目
クロス円も先週は日銀の利上げ観測による円買いの影響を強く受けました。
ユーロ円は181円台、ポンド円は210円台まで下落しています。来週の市場予想レンジではユーロ円179〜183円、ポンド円208.50〜213円程度が想定されています。
ユーロは10日のECB理事会が最大の材料です。
市場ではECBの利上げが強く意識されており、政策金利そのものだけでなく、ラガルド総裁がその後の利上げペースについてどの程度タカ派姿勢を示すかが焦点になりそうです。
ポンドは11日の英7月GDP。
急落後ということもあり、ユーロ円・ポンド円ともに週前半は買い戻しが入る可能性がありますが、日銀の利上げ観測が続く限り、戻り局面では上値も重くなりそうです。
豪ドル円は下値の堅さを確認したい
豪ドル円は112円台まで下落しましたが、テクニカル面ではボリンジャーバンド下限がサポートとして意識されています。市場では111〜114円程度のレンジが想定され、RBAのタカ派姿勢も豪ドルの支えになっています。
そのため、豪ドル円についてはドル円やユーロ円ほど下方向に傾けず、111〜112円台で下値を固められるかを見たいです。
円買いが一服すれば、主要クロス円の中では比較的戻りを試しやすい通貨になる可能性があります。
来週は「円高が続くか」より、その後を見る
先週のドル円は160円台から155円台まで一気に動きました。
ここまで大きく動くと、「円高になったから来週も円高」と考えたくなりますが、少し慎重に見たいです。
短期間で5円近く下げたことで、155円台では買い戻しも入りやすくなっています。
一方、158円台には戻りを抑えそうな水準が集まっています。
なので来週は、
155〜157円台でもみ合うのか。
158円を回復して戻りを広げるのか。
155円を割ってもう一段下へ進むのか。
この3つを見ながら追っていこうと思います。
個人的には、週前半にいったん戻す場面があっても、158円台では上値が重くなる展開を少し強めに見ています。
金曜日の米CPIまで含めると、来週もかなり動きそうですね。
※本記事は公開情報をもとに為替相場の見方やシナリオを整理したもので、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
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